Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

伝説の入江塾は、何を教えたか

著者:入江伸
評価:B

【評】
宇宙開闢して間もないころ、入江塾という塾があって、あまたの灘高生を輩出したそうな。
塾生たちの思い出を織り込み、語られる教育論、人生論。

彼らは、けっして持って生まれた才能が、他人よりすぐれていたのではない。ただ、ふしぶしの岐路に面したとき、けっして安易な道を選ばずに、また、ともすれば、目前の利に走りたがる心の誘惑にも負けないで、ここまで耐えてきた少年たちばかりであった、と。

入学試験は、"学力三分、人間七分"というのが、私の持論である。彼はこの"人間七分"を、二ヶ月間で、完全に身につけたのである。

親の、子どもの学習内容や学校の成績への介入は、"百害あって一利ない"ことは、繰りかえし述べていることだが、無関心はもっと悪い。真の愛情に支えられてこそ、はじめて、子どもはヤル気を起こすのであり、それによって、驚くべき力を発揮するのである。


グループ学習、生徒によるテスト問題作成、相互採点、夏の一ヶ月キャンプ…。
自主性、協調性、そして人格を養うフシギな塾。 
人格陶冶は難しいようで難しい。
 

あることがらの事情説明を求められたときには、けっして、第三者の名を出すな。徹頭徹尾、自分の責任において答えよ。

一切、弁解に逃げず、逆に、"それはなぜか、それはなぜか"と問いつめ、自分で考えを深めていく習慣をつけることこそ、何よりも大切である。

「人間」とは、"つねに誠実に対象と取り組みつつ、生活を生きぬいていく"実践の中で、初めて体得できる、「いわく言いがたき何ものか」なのである。実践の積み重ねのうちに、いつか、無意識のうちに匂い出してくるもの、それが「人間」の正体だ。


生徒あとがき。
 
最後に受験に勝利するのは、頭が固くて不器用だけれど、地面をはいずるように地道な勉強を積み上げていく、カッコ悪い生徒でした。確かに、最後に物を言うのは、学力でなく人間力かもしれません。