サム・ジーヴァ帝国図書館(Javaさんのお部屋)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

死顔

著者:吉村昭

【概要】
老境に達した著者の小品を取り揃える。一度死の淵をさまよった若き日の原体験、老いと死に向き合っていく心境が窺い知れて興味深い。
巻末には妻の津村節子が登場。文学者夫婦には憧れる。

【詳細】
『ひとすじの煙』
…若き療養の日々。灰色の景色と感情が紙面から滲む。

『二人』『死顔』
…他人の死を見て己の死を思う。執筆時、著者は死に向けて心の準備をしていたに違いない。

私と妻は、自分たちが死を迎えた時、息子と娘以外に死顔を見せたくない、と話し合っていた。出棺の折に遺族のみならず一般の焼香客も、お別れと言って死顔を見るのが仕来りになっているが、死は完全な終結であり、別れはすんでいるという思いがある。

山茶花
…保護司というシブい題材。淡々と綴られた物語のおわりに、対象者が他人になったことを実感するのが少しさびしい。 

『クレイスロック号遭難』
記録文学然としている。土左衛門の描写がやたら克明。丁寧で誠実な対応が不平等条約改正に一役買ったようだ。