評価:B+
【評】
私たち人間の能が持つ最大の強みは、「何かを学んで成長する能力」です。脳科学の成果を取り入れた「ディープ・ニューラルネット」のような最新鋭のAIは、この学習能力を備えているのです。これは、「機械学習」と呼ばれます。
人間にとって「最後の砦」とも言える学習能力を、コンピュータや機械が備えてしまえばどうなるのか? つまりビッグデータを教材にして自ら学び、変化し、無限に成長する自律的マシンに人間は対応できるのか? あるいは、どう対応していけばいいのか? これが21世紀を生きる私たち人類に突き付けられた 、新たな課題として浮上してきたのです。
コスト関数(モデルと理想のズレ)を最小化する計算こそ、機械学習システムが実際にやっている作業なのです。
過去のニューラルネットが単なる数値計算的な数学を採用していたのに対し、最近のニューラルネットは脳科学の研究成果を数学で表現処たものに基づいている。ここが大きな違いなのです。
ディープ・ラーニングだのロジスティック回帰分析だの、ナウでヤングな言葉が並ぶ。
AIの概要、AIの可能性と危険性、AIや次世代ロボットの技術開発などを解説し、
AIの潜在能力に対し人間はどう対応すべきか、そして日本はどのような方向で技術開発を進めていくべきか、
を問いかける。
おそらく今から30年後に、現在を振り返ったとき 、まさに当時のパソコンやインターネットに匹敵する技術が、今の「AI」と「次世代ロボット」なのです。このチャンスを今回、日本企業がまたも逃してしまえば、それはエレクトロニクスのような一分野の衰退では収まりません。
とは言いながら、p.240以降の記述はSF的で希望に溢れている。
私は好きですよ。こういうの。