評価:B
【粗評】
情緒を形に表現することは大自然がしてくれるのであるから、大自然に任せておいて、
人は自分の分をつとめるべきである。情緒を清く、豊かに、深くしていくのが人の本分であろう。
これが人類の向上ではなかろうか。
私は、人で一番たいせつなのは人の心、わけてひとの悲しみを知ることだと『春宵十話』以来いい続けてきたのであって、そうすれば心の窓が開いて、その人の心の中を春風が吹くのである。
思索する数学者、岡潔。
芭蕉や寺田寅彦、道元の著作を紹介しながら、
脳科学や哲学にまたがる幅広い知識・思想を披歴する。
「情緒」の重要性と道元の『正眼法蔵』をやたら推してくる。
良くも悪くも重複が多い。
そして日本が終わったり始まったりと編集にやや不満アリ。