Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

高橋是清自伝

著者:高橋是清 編:上塚司
評価:A

【粗評】
「日本財政の守護神」「だるま宰相」と呼ばれた是清翁が、奇しくも凶手に斃れる年に出版した自伝。
上下2巻。上巻の終わり方が
こうなったらもう田舎に引込んで、百姓でもするほかはないと考えた。
(中略)
是賢はこの時十四歳、是福は十歳で、家内は毛糸を編んで手内職をし、僅かな工賃を得ていた。
と、何となくカッコいい。
残念ながら日露戦争後の処理のあたりまでで終了。二・二六事件がなければ出版してくれたかも。

本人も認める、行き当りばったりで波乱万丈の人生を、そして時代のいきれを、ひゅうもあ溢れる文体で語る。
人身売買に遭っても、鉱山開発に失敗しても、彼は楽天家たりつづけた。
ズバズバものをいう硬骨漢ぶり、 国内外でガンガン人脈を広げる活動力、外債を英米独仏で成立させる交渉力…魅力に溢れた人物であったことだろう。

「彗星のごとく出でて泡のごとく消えさった」
日本銀行の勤め心地はちょうど香気の高い色麗しい薔薇の花にも譬えようか、仕事は派手で世間にも知られるようになったが、その花の蔭には棘のあることを感ぜずにはおられなかった」
などの部分に文才を感じた。

【良かった場面/箇所】
・度重なる支那人とのバトル、水槽破損
・殴られた拍子に放屁
・ペルー・アドベンチャー
・賄征伐、建築所の在庫品整理などの事例

【問題点・疑問点】
原敬(ハラケイ)などの謎音読み
・下巻 経済的知識を要す


【その他】
フ ル ベ ッ キ
 「実に職務上共同して働く人々の和衷ほど貴くかつ快いものはないと、今もって思い出しては自ら幸福を感じている次第である」