短期間でアジア最強になった 大日本帝国の国家戦略 [単行本（ソフトカバー）]
著者：武田知弘
評価：B
戦前の日本を全否定し、「悪」と決めつけるのは自分の最も恐れるところである。大日本帝国のもたらした功罪両面を見ていこうではないか、ということで本書。この手の本にしては贔屓が少なめであり、戦中期だけでなく幕末～明治初期から大日本帝国という国家について紹介しているのがやや珍しいか。米の収穫量や軍事費、兵数の推移など資料も興味深い。
急ごしらえの大日本帝国を、半世紀足らずで列強に加えた明治の人間たちの燃え立つような思いには、ただただ敬服するばかりである。
太平洋戦争の敗因としては、首脳部が戦争の「落としどころ」を考えていなかったこと、政治権力の分散、情報戦の弱さなどが挙げられている。
本書に加え、『それでも、日本人は戦争を選んだ』なども読むと戦前の国際・国内情勢の理解に一役買うかもしれない
（余談であるが、世界史を履修するメリットとして、自分は旧植民地とその宗主国がわかることを挙げたい。）
