社会を変えるには (講談社現代新書) [新書]
著者:小熊英二
評価:B+
厚い新書。著者は慶應の教授。写真がチャラめ。
デモ、原発、民主主義…さまざまな事物について考えるヒントを提供してくれる。情報量が多く、それゆえ考えさせられることが多かった。
とにかく厚いが、非常に興味深く読ませてもらった。
政府だ、市場だ、NPOだ、と「正解」の材料をつぎつぎとかえたり、「でも私はピンとこない」とくりかえしながら誰かが「新しい正解」を与えてくれるのを待っていたりしても、何も始まりません。従来の発想が行き詰っているときには、材料やパーツを変えるだけではない、本当の意味での発想の転換が必要です。
そのために、自国の歴史や他国の思想から、ちがった発想のしかたを知り、それによって従来の自分たちの発想の狭さを知る。そのあと、従来の発想をどう変えるか、どう維持するかは、あらためて考える、そのために、歴史や他国のこと、社会科学の視点などが、必要になるのです。
本書で私は、そういう視点を提供することを考えました。
社会を変えるには、あなたが変わること。あなたが変わるには、あなたが動くこと。言い古された言葉のようですが、いまではそのことの意味が、新しく活かしなおされる時代になってきつつあるのです。