Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

モンスター

モンスター (幻冬舎文庫)
モンスター (幻冬舎文庫) [文庫]
著者:百田尚樹
評価:B

整形による女の出世物語。べっぴん好きの自分としては興味深い本だった。
ブスの学生時代の心理や、彼女が整形に次ぐ整形を重ねていく過程、それに伴って変わっていく周りの男たちの対応の描写には妙に現実味がある。著者の得意技だ。やはりこの作者は、現代を舞台にした小説が得意なのではないか。
しかし、あのつるっぱげのオッさんがブス子になりきって書いたと考えると、大変おもしろいと思いませんか。
作中で助教授・玉井の話す美人論や、心理学の話、そして、主人公のバケモンスター和子が自らに施す、目、鼻、口その他に関する整形の知識には「へえ~」と素直に頷いてしまった。

本作を読んでいると、女は顔なのかという永遠の命題に改めてぶちあたった。
この命題は真。顔。同条件なら間違いなく顔。
身分の固定されていない現代では、べっぴんとブスの差がさらに大きく拡がってしまった。
「美人は性格が悪い」というのもきっと、その事実に対抗するため、ブスの作り上げた虚構なのだろう。女ってこわいね。
その点、男はあんまり顔面による待遇の差があまりないのでいいよね。男女平等なんて幻想だね。

担当医・横山曰く、

“彼女たち(美人)は何の苦労も努力もなく、生まれながらに持っているものだけで、ただただ幸運な人生を送っています。しかしあなたは違う。自分の力で美しさを勝ち取った。同じ皮一枚でもあなたの方がずっと素晴らしいというのはそういうことです”

確かに整形は誉められたものではないが、ブスでも金さえ払えばべっぴんと同じ土俵に立つことを可能にする、民主主義的な方法なのかもしれないと少しだけ考えさせられた。少し考えた後にその考えを振り払った。
どうか日本も某国のように整形手術が流行しませんように!遺伝子は変わらないよ(変えられるようになるかも)!