評価:B
【評】
某音楽アニメに触発されて読む。
自殺に並々ならぬ興味を持つ、世界を少し斜に構えて見ていた14歳が
「百まで生きて、その間、直美のことを、ずうっと憶えていよう」
と、いのちのはかなさと輝きを知る物語。
ビデオカメラの使い方を知らない、家に固定電話しかない、そして
「模擬テストの成績に同封されている資料には、いろんな高校の名前がメニューみたいに並んでいる。自分の偏差値が低いと、選べる学校の数も限られる。でも、メニューに載っていない生き方だってあるんじゃないか。僕はそう思ったんだ」
と偏差値教育に疑問を呈するあたり、非常に80's~90感がある。
また、直美のはだけた胸を見て、
「この白い、つぼみのような乳房と、この表情を、いつまでも憶えていよう」と思うあたり、
非常にジュヴナイル小説感がある。
さて、本作と某作品であるが、
まず人物は、
- 公生→良一
- 渡→徹也
- かをり→直美
- 良一がピアノ弾く
- 徹也は野球少年
- 直美と徹也が幼馴染
- 全員中3
他にも、
- 直美「あたしにはいろんな可能性があった。あたし、クラスでは成績よかったし、バレエ習ってたし、新体操も少しやりかけてたし、高校になったら、少女小説を書くつもりだったし……。いろーんな夢があった」
- 弟「おれはスターにはなれない」
- 徹也「おれの顔を見ろ」
- 「母は何よりもテンポの正確さを要求する。機械みたいな無表情な演奏がお気に入りだ」
- 「怒ったり、笑ったり、直美の表情は動きが激しかった。そして、どの顔も、いきいきと輝いていた」
- 「お前は、いじけてるぜ」
- さいごの直美父との会話
「あなたって、ほんとに変な人」
「病院にお見舞いにきたのに、ずうっと黙り込んでいるんですもの」
「あたしと、心中しない?」
の三連コンボは言うに及ばず。
某作品著者がこの本を大好きであることはよくわかった。