Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

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読書について 他二篇

読書について 他二篇 (岩波文庫)
読書について 他二篇 (岩波文庫) [文庫]
著者:Schopenhauer 訳:斎藤忍
評価:B

鋭い例えを多用し、悪書や多読の有害さを説く。
19世紀半ばの著とはいえ、「驚くほど新鮮」。
当時の独語の紊乱を嘆く様も随所に見られる。
「著作と文体」12章にて51ページにわたるボケを披露している。当然読み飛ばした。
しっかり巻末でセルフツッコミを入れていたので安心。

●思索

“何か一つのことを知り、一つの心理をものにするといっても、それを他のさまざまの知識や真理と結合し比較する必要があり、この手続きを経て初めて、自分自身の知識が完全な意味で獲得され、その知識を自由に駆使することができるからである。我々が徹底的に考えることができるのは自分で知っていることだけである。知るためには学ぶべきである。だが知るといっても真の意味で知られるのは、ただすでに考え抜かれたことだけである”

“自ら思索することと読書とでは精神に及ぼす影響において信じがたいほど大きなひらきがある”

“自ら思索する者は自説をまず立て、後に初めてそれを保証する他人の権威ある説を学び、自説の強化に役立てるにすぎない。ところが書籍哲学者は他人の権威ある説から出発し、他人の諸説を本の中から読み拾って一つの体系をつくる。その結果この思想体系は他人からえた寄せ集めの材料からできた自動人形のようなものとなるが、それに比べると自分の思索でつくった体系は、いわば産みおとされた生きた人間に似ている”

“読書は言ってみれば自分の頭ではなく、他人の頭で考えることである。絶えず読書を続けて行けば、仮借することなく他人の思想が我々の頭脳に流れこんでくる。ところが少しの隙もないほど完結した体系とはいかなくても、常にまとまった思想を自分で生み出そうとする思索にとって、これほど有害なものはない”

●著作と文体

“真の思想家はだれでも、思想をできるだけ純粋明瞭に、確実簡潔に表現しようと努めている。したがって単純さは常に真理の特徴であるばかりか、天才の特徴でもあった。文体は美しさを思想から得る”

“なお読者は、私の主著の第二巻十二章の説を、参照していただきたい”

●読書について

“むしろ我々は(中略)、つねに読書のために一定の短い時間をとって、その間は、比類なく卓越した精神の持ち主、すなわちあらゆる時代、あらゆる民族の生んだ天才の作品だけを熟読すべきである”

“主題として選ばれる著作家は時によってさまざまである。ところで一般読者は、このような雑書を読むが、肝心の著作家その人が書いたものは読まない。それというのも新刊書だけを読もうとするからである”

“精神のための清涼剤としては、ギリシア・ローマの古典の読書にまさるものはない。たとえわずか半時間でも、古典の大作家のものであればだれのものでもよい”