評価:B+
【評】
「このせか」で一躍名を上げたフミヨの代表作。なかなか売ってないのが痛い(呉では売ってた)。
「夕凪の国」で落として「桜の国」で戻してくるあたりは巧みな安心設計。
桜の国(二)になってようやく二つのお話がリンクしていることに気づく。
あの日の広島と現代の連続性、人びとの血のつながり、
原爆症の記憶と、原爆症からの訣別。
作者にとって広島を描くことは自分のルーツと未来を描くことなのだ。
参考資料、解説、地図、あとがきからは、
人びとや街、時代を紙上に再現してやろうという作者の執念を感じる。
「夕凪の国」
うちは この世におっても ええんじゃと 教えて下さいこれが作者の漫画のテーマか。
打越さんの告白を理解するまでに5分かかった。
十年経ったけど屈折している…が、上の要望への一つの回答ではある…。
原爆を落とした人はわたしを見て
「やった! また一人殺せた」
とちゃんと思うてくれとる?
「桜の国」
そして確かに このふたりを選んで 生まれてこようと 決めたのだ持ち直した。
※カバーを外すと…。