Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

SHIROBAKO

監督:水島努
評価:B+

【概要】
P.A.WORKSが贈る、アニメを作るアニメ。
制作進行の主人公を巧みに活用し、アニメ制作の現場、苦しみと楽しみを描き出す群像劇。
アニメの仕事をしている・したい人も、そうでない人も宮森さんと仕事したくなる筈。

【詳細】
<あらすじ>
公式サイト参照。

[1-12.えくそだすっ!]
高校アニ同の5人で迎えた卒業式。数年後の再会を予感させ2.5年経過。
そこにはアニメ会社の制作進行となった宮森(おいちゃん先輩)の姿が。
他の4人も原画、3DCG、声優、大学生とそれぞれの道に。

「アニメ制作はチームワーク」というわけで、
制作進行のみゃーもり、
原画回収、打ち合わせ、制作スケジュール管理・調整、人・モノ・場所その他の手配、部署間の伝令・折衝、スタッフの体調管理と東奔西走、駆けずり回る。
制作進行という設定を活用し、
原画、動画、動検、作監、キャラデザ、脚本、演出、3DCG、美術、色、撮影、音楽、声、監督、プロデュ―サー、デスク、制作進行、総務などなど、いろんな職務や作業工程、そして人々のアニメにかける想いを活写していく(特典映像「SHIROBAKOSHIROBAKOが出来るまで」も参考)。

みんなの夢を詰め込まれた宮森さん、新人ながらも卓越した「猛獣使い」の本性を発揮し、持ち前の明るさと情熱と人当たりの良さで難局を乗り越えていく。
作中でも言われていたけど、人をノせるのがうまいんだな。

日々トラブルが発生する現場で、文字通り目が回るような仕事の毎日。
監督の心変わり、キャラ設定のすり合せ、作業の手違い、演出と3Dアニメの反目、原画リテイク、上がらない絵コンテなどなど。
作品やキャラへの愛とスケジュールの間で揺れる監督とその他スタッフ。
いいものを作りたい点ではみんな一致している。
だが、その達成がいかに難しいことか。
「夢みたいなお話を作るには 夢だけ見てちゃいけない」のである。

[13-24.第三少女飛行隊]

人材不足と高い能力のため、おいちゃん先輩まさかの2年目でデスクにクラスチェンジ。
レポ蒐集要員のりーちゃんを加え、『サンジョ』制作に邁進する。
変な話~や原作者とのいざこざ、本多・矢野・落合OUT、平岡やグロス先の不手際など、
定期的なちゃぶ台返しを喰らいながらも、作者との直談判により高次のエンドに空高く飛翔する。

ムサニの屋台骨と化したトラブルシューター宮森さん。相変らず優秀。
理解力や調整力、後輩への気遣い(弁当)や面倒見の良さ、人当りの良さ、ひたむきさ。
そして、言いにくいことも物おじせずに言える人なんだな。
あらやだ、無敵じゃないの。
このアニメには、人にまかせる、やらせる難しさ、そしてコツも疑似体験できる不思議なリアリティがある。

またサンジョという媒体を通じ、水面下で徐々にに少しずつ集結していく5人の仲間。
づかちゃんの「今わたし、少しだけ夢に近づけました」のファイナルアタックで「サンジョだよ!全員集合」。おいちゃん先輩あえなく撃沈。
飛翔した5人の仲間。みな確かな成長を遂げていた。
「気がついたらここにいた」と言えるよう、もう飛び続けるしかない。

アニメ制作の日々を経て、
時代に置き去られつつある老アニメーターも技術継承する役割を自覚し、お調子者のダメ男タロー君もアホなりにキャラを確立し、北岡君も軟化し本来の姿を見せ始め、小動物も保護者なしで喋れるようになるなど、各々その得るべき処を得る。
どんどんドーナツ筆頭の宮森も、遠くを見る時期にさしかかり「アニメを作りたい」と改めて思い「がんばる人のためにがんばる」ことを決意する。

名実ともにエースの宮森が「ともしび」乾杯音頭をとって大団円。
みんなに見せ場があって、みんな飛び立てて、よかったね!


<印象その他>
・OPとEDの謎の吸引力ね(特に1-12話)。
「受け取ってくれるかな」⇒受け取ってくれた(12話ED)で一番感動したのは秘密。

・24話あるがダレないのはさすが。
メタ的なアニメでなかなか難しい題材だが、作中のキャラも劇中劇中(!?)のキャラも生きているように感じられてよかった。

・深夜まで続く作業(社長の手料理あり)、同一目的へ向かう一体感、最終話納品後の無常の喜び、そんな雰囲気が部活部屋のようで、なんだか羨ましくまた懐かしくなった。

・業界用語が当然のごとく出てくるのがリアルでいいね。
BD売上の話やプロモーション、元請やグロス請け、オーディション風景やカオスでgdgdな会議など。

・全体的にキャラの目が大きめ。
女の子が多めだが謎の水着会やお風呂回はなく(クリアファイルやアニメ誌ではある模様)、健康的なセクシィさが匂い立っている。良い。
宮森さんの次点では、ライター志望のりーちゃんが良い。

・マスコットの二人(ミムジー&ロロ)がカワイイ。
ED1のダンスやツンデレはもちろん、作中では解説も内面描写もできる超便利キャラとして活躍する。
みゃーもりの内面を代弁しているかと思いきやそうでないときもあり(とくに24話)、油断できない。

・劇中劇の2作も1話分作っちゃう手の込みよう。
えくそだすっ!』のその後に興味がある。

・劇中劇2作やP.A.WORKS探検、設定集など、特典DVDが豪華(BD-BOX)。

・『罪と罰』や『山椒魚』、啄木などがさりげなく登場するのはクリエイターらしくて良い。
他にも以下のようなパロディが登場。キミは全部わかったかな?
  • イデポン
  • 町立宇宙軍 
  • 望遠機動隊
  • 新世紀アヴァンギャルド
  • ギブリ
  • ハニーとクローバー
  • ビューティードリーマー
  • サンアップ
  • 強気サドル
  • 宮崎いさお
  • 押井ゆずる
  • 菅野光明
  • 北野サーカス

など。