Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

亜澄錬太郎の事件簿1 創られたデータ

著者:齋藤勝裕
評価:B

【概要】
ミステリー形式で科学知識の基礎と小ネタを学べる。プロットの粗さや知識がないと初見殺しになる鬼トリックはいいとして、誤植の多さが気になって謎解きどころではない。

【詳細】
「オイ、阿澄、お前の大学はどうなってんだ?」
ポスト争いや痴情のもつれ等の理由から、毎回帝都大学の教員・生徒が2~3人死ぬ。
知識がないと初見殺しになる鬼トリックには目をつぶろう。

准教授や助教という据わりの悪い役職の解説や研究室運営のイメージ、
「現在の理工系では学部四年に加えて大学院修士課程の二年を加えた実質六年制の状況になりつつある」などの記述は、非理工系への配慮を感じる。

似たものは似たものを溶かす、
気体の溶解度(夏場魚の大量死、風呂で毛穴に気泡付着)、
COやシアン化水素のやらしさ、
シンナー(thinner)や駒込の語源、アセトン最強説、
パラフィンはC20程度、UV硬化は二重結合同士の四員環形成による、などの小ネタはもちろん、
再結晶、滴定、蒸留、還流、Grignard反応などのケミカル操作・試験解説もある。

そして何より誤植が多い。さすがにこのレベルでの発行はアウトだろう。
というわけで誤植集(初版)も載せておく。もう直っていることを願いながら…。
p.13 とんで「も」ない
p.15 間「柄」
p.19 そこまで
p.108 一般的
p.129 話「し」かける
p.142 「科」研
p.150 テレ「フ」タル酸
p.177 句点なし