評価:B
【評】
!を多用しながら、真空エネルギーや仮想粒子対のうごめく真空のナゾにせまる。
真空のいたずらやちょっかいで起こるカシミール効果、理論値と測定値のずれ。
そして、「自発的対称性の破れ」。
真空に起きた「自発的対称性の破れ」によって発生したヒッグス場の働きによって、弱い力を運ぶ3つのゲージ粒子は質量を獲得したことになります。
クォークの質量はヒッグス場との相互作用から発生しますが、実はそれは全体の2%足らずで、残りの 98%強は「カイラル対称性の破れ」によって獲得したものです。
これに、クォーク同士を結び付けるグルーオンのはたらきにより生まれるエネルギー(クォークの回転)をE=mc2で物質化したものを加えて、ようやく陽子や中性子の質量がおなじみの値になる。
素粒子物理系では比較的わかりやすい部類に入る本だと思う。