【概要】
著者(監督):大島渚
大島渚監督の伝説作品。龍一逝去の報を受け久々の視聴。毎回忘れるのだが、Mr. Lawrenceはボウイじゃないぞ。まずはキャストの妙に刮目。ジャック・セリアズ(ボウイ)、ロレンス(トム・コンティ)、ハラ軍曹(たけし)、ヨノイ大尉(坂本龍一)、俘虜長のおっさん。この時期に撮っていてよかったね。
やはりfunny faceなハラ軍曹ことたけしが光る。ニヤニヤ、ふてぶてしさ、残酷さ、気まぐれさが不気味であり人間らしくもある。にしても彼の古参軍曹感は何なの。そして不思議な顔立ちの龍一も出る。うまいのかうまくないのかわからんが、とりあえず青年将校感は出ている。一人の血の通った誇り高き人間として、男としてセリアズを愛してしまったのか、ヨノイ。音楽は言うまでもない。
当然「隊長殿の心を乱す悪魔」ことボウイの名演も印象的。射殺時に目隠しを拒否して死中に活を得るシーンとか、傷ついた肌を裁判所で見せるシーンとか、死者へ手向ける花をmogmogするシーンとか、伝説となったヨノイ大尉へのキッスとか、その表情や行動は口数少なくとも雄弁で型破りで、妖しげですらある。弟のmoonlight song封印エピソードもいいダシ出している。ロレンスのしたたかな感じもいい。彼もまたセリアズの誇り高い姿に心打たれたに違いない。
ホモセクシュアル要素が注目されがちであるが、処刑前夜の面会がやはり名シーン。「メリークリスマス!(和風発音)Mr. Lawrence」のあとにたけしの画面が大写しになって停止するところね。敵も味方もみんな間違っていて、みな自分のことを正しいと思っている犠牲者たちにすぎない(ここ重要)。かつて虐げていた方がいまや虜囚となっている運命の悲喜劇。クリスマスに気まぐれでロレンスを特赦するファーザー・クリスマス・ハラ、朱い花で死者を弔うセリアズ、セリアズの不意打ちキッスで彼を斬れずに倒れ込むヨノイ、生き埋めになったセリアズの遺髪を切り取るヨノイ…。残酷な運命に弄ばれた両者であるが、国や組織や立場の違いを越えた人間的な交流はたしかに存在していた。
【詳細】
<メモ>
【評】2015.5.24
たけしや坂本龍一が暴れる。たけしはいい仕事しすぎ。龍一は同名曲の作曲もしているぞい。
ジャックニキのキッスやたけしのメリクリの意味について考えてみよう。赦しというやつかのう。
ロレンスとたけし、ヨノイとジャックの奇妙な関係に注目ぢゃ。