Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

啓発録

著者:橋本左内 訳:伴五十嗣郎
評価:B+

【粗評】
幕末早期退場組の左内ニキが齢僅か十五にしてものしてしまった手記。
凡百の自己啓発本より啓発されるぞい。
「立志」「勉学」など五項目について平易かつ具体的に武士の心構えを説くぞい。
武士に成度き者は必読ぢゃ。

志と申すは、書物にて大に発明致し候か、或ひは師友の講究に依り候か、或ひは自分艱難憂苦に迫り候か、或ひは奮発激励致し候かの処より立ち定まり候者にて、平生安楽無事に致し居り、心のたるみ居り候時に立つ事はなし。志なき者は、魂なき虫に同じ。何時まで立ち候ても丈ののぶる事なし。

何分志を立つる近道は、経書又は歴史の中にて、吾が心に大に感徹致し候処を書抜き、壁に貼じ置き候か、又は扇などに認め置き、日夜朝暮夫を認め咏め、吾が身を省察してその及ばざるを務め、その進むを楽しみ居り候事肝要に(中略)候。

詩文や読書を学と心得候は笑かしき事どもなり。詩文や読書は、右学文の具と申す者にて、刀の柄鞘や二階の階梯の如きものなり。

世の中に益友ほど有り難く得難き者はなく候間、一人にてもこれ有らば、何分大切にすべし。

『啓発録』自体は解説等含め50ページ程度で終了。
そのあとには書簡や意見書、漢詩が続く。
訳者の名前がオイシイ。