評価:A
【粗評】
初・しをん。をしんではない。
裏表紙の「純度100パーセントの疾走青春小説」の文字に偽りはなかった。
登場人物のあだ名が秀逸で面白い。
ボロ寮、コーチ兼選手・ハイジの古傷、走のライバル藤岡…と王道設定。
ハイジのコーチ力、選手の成長など冷静に考えたら、うまくいきすぎだろ! という展開なのだが、作品の世界にどっぷり漬かれるので問題ない。
いつしかページをめくる指に熱がこもる。特に最後の九・十章は熱すぎて本が真っ黒焦げに。
熱くてみずみずしい小説だった。
箱根駅伝の見方が変わり、味方になることうけあいだ(強引)。
自分もルームランナーをやめて外を走りたくなったので、「強い」ランナーめざしてがんばります。
日差しが脳天を直撃する。蟬が急にいっせいに鳴きはじめる。雲は吹き流されてもうどこにもない。
「空が青いなあ」
夏だった。
そして一月二日。
箱根駅伝がはじまった。
それは、十人で挑んだ一年間の戦いの、終着点だった。同時に、箱根駅伝があるかぎり語りつがれる十人の、最初で最後の、激しい戦いのはじまりだった。
【良かった場面/箇所】
・ラスト2章の熱さ、みずみずしさ
・十人の住人のあだ名に恥じぬキャラの濃さ
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【問題点・疑問点】
・葉菜子とはどうなったんだろう?
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【その他】