破獄 (新潮文庫) [文庫]
著者:吉村昭
昭和11年青森刑務所脱獄。
昭和17年秋田刑務所脱獄。
昭和19年網走刑務所脱獄。
昭和22年札幌刑務所脱獄。
昭和の混乱期に四度の脱獄を行った脱獄魔・佐久間清太郎。モデルは白鳥由栄という実在の人物。
時勢の変化を参照しながら、食事・運動・作業・入浴など獄中の生活や、年次の逃走者数・死者数の詳細なデータを交え、脱獄する者・阻止する者の姿を鮮やかに重厚に描き出す。
看守の心理を巧みに操る頭脳と、たぐいまれな運動能力を持ち合わせていた佐久間。
しかし彼の能力は脱獄という手段でのみしか発揮されなかった。
佐久間の人生はいったい何だったのだろうか。
著者:吉村昭
昭和11年青森刑務所脱獄。
昭和17年秋田刑務所脱獄。
昭和19年網走刑務所脱獄。
昭和22年札幌刑務所脱獄。
昭和の混乱期に四度の脱獄を行った脱獄魔・佐久間清太郎。モデルは白鳥由栄という実在の人物。
時勢の変化を参照しながら、食事・運動・作業・入浴など獄中の生活や、年次の逃走者数・死者数の詳細なデータを交え、脱獄する者・阻止する者の姿を鮮やかに重厚に描き出す。
看守の心理を巧みに操る頭脳と、たぐいまれな運動能力を持ち合わせていた佐久間。
しかし彼の能力は脱獄という手段でのみしか発揮されなかった。
佐久間の人生はいったい何だったのだろうか。
なにか辛いことはないか、という問いに、佐久間は、「出所した者が、また罪をおかしてもどってくるでしょう。その連中に、まだいるのか、と言われるのが辛くてね。いっそ、逃げようか、とも思いますよ」と、ためらいがちに答えた。「なぜ、逃げんのだね。その気になれば、いつでも逃げられるだろう」佐久間は、少し首をかしげると、「もう疲れましたよ」と、かすかに笑いながら答えた。