【概要】
著者(監督):ヴィム・ヴェンダーズ
東京の片隅で生きる片山さん。孤独を噛みしめて味付けする精神、淡々とした日々に楽しみを見出していくマインド、小津安二郎感あり。たまーに酒とタバコを嗜む程度で、修行僧のような規則的で淡白な日々が続く。アート感すら漂うミニマリスト。スカイツリーと対照的なボロアパートにため込んだカセットと本、あと盆栽のような鉢くらいしか資産がない。
過去になんかあったようだが、平山さん全然喋らないので謎。磨き上げたトイレのように真っ白な余白しかない。柄本君が蒸発する、カセット借りパクされかける、姪が来訪する、くらいの微風は吹くが、人生が大きく動く出来事は起こらない。淡々とした日常の積み重ねが人生。汚いところがキレイに削ぎ落とされた独身男性といった感じ。
- ルーチンワーク:ばあの掃き掃除音で起床⇒ふとんたたむ⇒歯磨き・髭剃り⇒水やり⇒着替え⇒貴重品持って外出⇒缶コーヒー購入して発車⇒カセット聞きながら現場へ⇒そうじ⇒昼飯、写真撮影⇒そうじ⇒帰宅して自転車で銭湯⇒駅近の安酒場で晩飯⇒読書⇒就寝⇒…
- 休日:遅めに起床⇒コインランドリー⇒待ち時間に写真現像⇒古本屋⇒家に戻って写真チェック⇒行きつけのバーへ…
ハイパー無口で全く人と交流がないかと思いきや、居場所はある。仕事場でよく見るホームレス、銭湯のおじさん、昼飯の時に見るOL、安酒場のおじさん、バー関係者といったイツメンとの物言わぬ交流がある。外国人に透明トイレの使い方、後輩にお金貸してあげたり、子供にやさしい、などの意外な人間味はある。トイレで〇×ゲームに勤しんだり、自転車で風になったり、失恋後におじさんと影踏みしたり、たまにおじさんらしからぬ可愛さを見せる。
アート的なモノクロ木漏れ日心象風景が日付が変わる場面で挿入されるが、抽象的でよくわからん。
【詳細】
<メモ>
- 東京のトイレの数々を巡り、便器の隅から隅まで磨く。TOKYO TOILET COLLECTION.
- 洋楽懐メロの原題が元ネタっぽい
- 幸田文『十一の物語』