【概要】
著者(監督):小川未明
「赤いろうそくと人魚」すら知らなかった(; ・`д・´)
他にも「金の輪」「野ばら」「糸のない胡弓」「負傷した線路と月」「三つのかぎ」「砂漠の街とサフラン酒」などの哀しみを湛えた作品や、「殿さまの茶わん」「時計のない村」「小さい針の音」のような教訓めいたものもある。ですます調が童話感を増幅させる。視点が弱者向けなところに著者の面目躍如を見る。
【詳細】
<目次>
- 電信柱と妙な男
- 黒い旗物語
- 眠い町
- なくなった人形
- 牛女
- 金の輪
- 赤いろうそくと人魚
- 殿さまの茶わん
- 時計のない村
- 港についた黒んぼ
- 小さな草と太陽
- てかてか頭の話
- 野ばら
- 糸のない胡弓
- はてしなき世界
- 月夜と眼鏡
- 月とあざらし
- 負傷した線路と月
- 三つのかぎ
- 兄弟のやまばと
- 砂漠の町とサフラン種
- 小さい針の音
- 二度と通らない旅人
<メモ>
序文「子供程ロマンチシストはありません。誰でも一度は子供の時代があつたのです。どんな心の醜悪な人間も、実利主義者も、また悪人も、ロマンチシストであつたのです。この子供の心境を思想上の故郷とし、子供の信仰と裁断と、観念の上に人生の哲学を置いて書かれたものは私達の求める『童話』であります」。
娘は、赤いろうそくを、自分の悲しい思い出の記念に、二、三本残していったのであります。
めっちゃ未明文体ぽいところ(「港についた黒んぼ」)
「もう一人、この世の中には、自分というものがあって、その自分は、わたしよりも、もっとしんせつな、もっと善良な自分なのであろう。その自分が、弟を連れていってしまっのだ。」と、姉は胸が張り裂けそうになって、後悔しました。
「その島というのは、どこなんですか。わたしは、どうかしていってみたい。」と、姉はいいました。
黒んぼは、このとき、港のほうを指さしながら、
「ずっと、幾千里となく遠いところに、銀色の海があります。それを渡って陸に上がり、雪の白く光った、高い山々が重なっている、その山を越えてゆくので、それは、容易にゆけるところでない。」と答えました。
このとき、夏の日は暮れかかって、海の上が彩られ、空は、昨日のように真っ赤に燃えて見られました。
(負傷した線路と月)
月は、それを聞くと、だれが悪いということができなかった。そして、レールを傷つけたといって汽罐車をしかることもできなかったのであります。