Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

曾根崎心中 冥途の飛脚 心中天の網島


著者(監督):近松門左衛門 訳注:諏訪春雄

【概要】
『曾根崎心中』だけ読了。近世の雰囲気を感じたい貴方に。「「アゝ嬉し」と死にに行く身を喜びし。哀れさつらさ浅ましさ。」のような、ほぼ口語の語り口が七語調で小気味よい。心中物は破局的な結末に至るプロセスに独自性が現われるのだと諒解した。

【詳細】
『曾根崎心中』。
原文の風合いを残した達意の現代語訳がいい。

<大坂三十三番観音廻り>で涼風に舞う蝶、
<足に通わす必死の覚悟>の悲壮な官能性。
<恋の手本となる>の性急かつ血塗れの最期はもの悲しい。

ほぼ口語の語り口が七語調で小気味よい。
やたら法語が現われるあたりに仏教の大衆化を感じる。
例)
「「アゝ嬉し」と死にに行く身を喜びし。哀れさつらさ浅ましさ。」
「此の世のなごり。夜もなごり。死にに行く身をたとふればあだしが原の道の霜」
「いつまでも。我とそなたは女夫星。かならず添ふ」
「未来へ回向しのちの世もなほしも一つ蓮ぞや」

憂き世のほだしに堪えかねて、若きふたりは露と消える。という様式美。 
心中物は破局的な結末に至るプロセスに独自性が現われるのだと諒解した。
大体男がダメ男なのが面白い。