著者(監督):野坂昭如
【概要】
『火垂るの墓』しか知らなかったが、野坂昭如の本業はこっちだった。
おピンクなお仕事にかかわる者たちの悲喜劇を特異な文体で描く(チューニングに時間を要す)。
澁澤龍彦の解説が要領を得ているのはさすが同類と言うべきか。
【詳細】
「エロを通じて世の中のためになる、この誇りを忘れたらあかん、金ももうけさしてもらうが、えげつない真似もするけんど、目的は男の救済にあるねん、これがエロ事師の道、エロ道とでもいうかなあ」講談調で綴られるスブやんなる「エロ事師」の一代記。著者の処女小説らしい。
解説は澁澤のそれに譲る。
「処女」ビジネス、ブルーフィルム撮影・販売、床〇ナ、白痴美人、〇液量談義、チ〇コ大きさ較べ、オカマvs.女子中学生、妻の連れ子との一幕、カキヤのベタベタ布団、乱交パーティー、最新鋭のダッチワイフなど、
次から次へとエロ事が繰り拡げられる。エロを作る者と消費する者の群像劇ともいえる。
地の文と会話文が混淆していたり、場面の切れ目が分かりにくかったりで読みづらく、チューニングに時間を要する。
戦争の残滓が時折のぞくたびに、胸が少し苦しくなる。