Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

バッタを倒しにアフリカへ


著者(監督):前野ウルド浩太郎

【概要】
バッタを追い求めてアフリカはモーリタニアまで跳ぶ。
研究の道の厳しさと楽しさ、たくましさと泥臭さがないまぜになっており、面白く読めることうけあい。

【詳細】
「砂漠のリアルムシキング」が、西の大地の果てでバッタにまみれる。
モーリタニア、フランス、日本の三極体制で研究を進める。
遅刻や賄賂、意志の疎通、資金のやりくり(雇用:ドライバー、コック、通訳)にとまどいながらも、
フィールドワークでのデータ取りや採用面接、論文執筆、著書執筆、広報活動など多方面で奮闘する。
ともすれば折れそうになる心を支えてくれたのは、ファーブルにもらった夢。

「やってみなければ気づかないことが多い」
採集法や実験法を試行錯誤して洗練させ、人・モノ・カネ・情報のやりとり・やりくりを通じ、プレゼン力、交渉力、そして総合人間力を向上させてゆく。
人々や昆虫の生態を肌で知り、研究者としても人間としてもたくましくなっていくウルド。  

ジェスチャーを使うのはもちろんのこと、使用している言語はフランス語と英語のチャンポンだが、お互いに気持ちを分かち合うことで、ボキャブラリーのしょぼさを補っていた。

軽めの文体に加え、多くのネタ画像、眉塗りや緑タイツなど遊び心が覗くが、マジメなとこはマジメ。

思えばこの一年で、私はずいぶん変わった。無収入を通じ、貧しさの痛みを知った。つらいときに手を差し伸べてくれる人の優しさを知った。そして、本気でバッタ研究に人生を捧げようとする自分の本音を知った。バッタを研究したいという想いは、苦境の中でもぶれることはなかった。

夢を追うのは代償が伴うので心臓に悪いけど、叶ったときの喜びは病みつきになってしまう。叶う、叶わないは置いといて、夢を持つと、喜びや楽しみが増えて、気分よく努力ができる。ビールを飲みたい、あの子とデートしたい、新発見をしたい。夢の数だけ喜びは増えるから、大小構わず夢探しの毎日だ。

色々あったけど、アフリカでのバッタ研究の旅は楽しすぎた。いつまでも消えない余韻に浸りながら、この先も虫たちにまみれて生きていけますように。

夕陽を受けるバッタや灌木に群がるおぞましい量のバッタ、ゴミムシダマシの情事や汚いオアシスの写真、ネズミ・サソリ・ハリネズミたちとの交歓。
盗撮写真集としても鑑賞できる。