著者(監督):藤岡 換太郎
【概要】【詳細】
たとえば本書の第1章、橄欖石のプロフィールのところでもし、「この石はおもに橄欖石、直方輝石、単斜輝石という三つの鉱物からなり、ザクロ石、スピネル、クロム鉄鉱、雲母、角閃石なども含まれます。主な構成鉱石である三つの鉱物の割合によって、さらに細かい分類名がつけられています」などといきなり書かれていたら、みなさんは読む気がするでしょうか。
しませ~ん。
本書は石に興味をもった人が初めて読む本、もしくはこれを読むことで石に興味をもっていただく本というつもりで書いていますので、厳密さよりも大づかみなイメージを大事にしたいのです。
地球の全体積に、これら三つの石の体積が占める割合は、橄欖石が82.3%、玄武岩が1.62%、花崗岩が0.68%です。ほかには、金属が15.4%です。つまり、事実上、地球はほとんどこれだけでできているのです。
地球の構造とは要するに、鉄の球(核)の周りを橄欖岩が取り囲み(マントル)、その周囲に玄武岩(海洋地殻)と花崗岩(大陸地殻)が薄く張りついているだけにすぎない、ともいえるのです。
各石の名称の由来と元素組成、用途にはじまり、
宇宙物理学から地球創生、プレートテクトニクス、密度、粘度、固液平衡(固溶体、共晶[冷却晶析])、ケイ酸塩鉱物の結晶構造まで、科学のスケールの大きさを感じられる。
橄欖石が周囲の環境(圧力、温度、冷却速度)などでいろんな姿に変態していくのが面白い。