評価:B
【概要】
競走馬の毛色にまつわるミステリー。頁を繰る度に?が蓄積していき、?が解けるかと新たな情報に期待すればまた混乱が。辛抱強く付き合っていると?の数々が解消される。読者の好奇心と欲求不満を御して最後まで読ませる筆力はなかなか。
【詳細】
競馬が流行ってた頃('82)の競走馬の毛色にまつわるミステリー。時代のせいか若干ナウい言動もあるがそれもまた良し。
主人公が競馬のことを皆目知らない設定なので、5大クラシックレースや競争馬の生態(血統、毛色、売買、運命、一生)など、自然な競馬紹介が行われる。
たしかに毛色が真っ黒なのに「青毛」なのはつっこみたくなるよね。
そんなわけで三十路女二人が謎解きに身を投じる。
ちょっとずつヒントを与えては読者を混乱させ、さんざんムラムラさせながら、ラストのどんでん返しまで導いてくれる。
終盤では悪の居城へのサスペンスな潜入もあり、加速する。
栗毛AND栗毛=栗毛や、芦毛OR芦毛=芦毛(かも)など、馬の遺伝型(aabbcc)の話はあまり知らなかった。
馬や競馬が好きな人は読んでみてもいいかも。
残ったものがあるとすれば、それは四冠馬というダイニリュウホウの足跡だけだ。ダイニリュウホウは走ったのだ。たとえ、彼がどんな血を受けた馬であろうとも、ダイニリュウホウは駆けたのだ。