評価:B+
【評】
ポンクジュ大先生にオススメされて観た。
不思議なタイトルが目を引く。「明日」なのに、「昨日」…?
ご安心召されよ、あなたが抱いた違和感は裏切られない。
そんなアイデア一発勝負系。ネタバレ後の「あ~!そうやと思ってたわ~!」は後知恵なので慎むように。
ニヤニヤしすぎて死ぬかと思った。そして我が身を思ってまた、死を思った。
あんまり好きじゃなかったけど、髪をまとめたり耳にかけたり、足をバタつかせたりする小松菜奈、ちょっとだけ好きになった。
さて、この物語は当初より、「青いまま枯れたりあなたを好きなままで消えたり」しそうな感じをそこはかとなく漂わせながら、恋の終末を予感させる由ありげなアイテムを多数投入してくる。
「1日目」なる意味ありげな文字。愛美がたびたび流す涙。愛美の予言めいたセリフや彼女が知り得ぬ情報(キリンの絵が貼り出される、隠し味はチョコ)。愛美の「12時が門限」。高寿が恩人にもらったという箱...。
ドッキング後に高寿が手にした手帳には、予言めいた予定が書き込まれていた。
そして、X日目(高寿にとっては(30-X)日目)という謎の数字。
なんと、彼女はパラレルワールドの住人であった。
彼女の世界では時間は逆方向に流れるというのだ。しかもそれだけに飽き足らず、5年に1度、30日しか出逢えないという(ご丁寧にも二重らせん図を描いて示してくれる)。
なんとお誂え向きな、切ない宿命であろうか。
※以下にこの物語の時間軸を図解する。
運命の酷薄さに苦しみ、ガーミュ比叡にて彼女につらく当たるも、
マブダチ・上山君の言葉(月と地球)をヒントに、彼女の涙もろさの理由に思い至ったとき、「ぼくにとっての初めては、きみにとっての最後だったんだ」と気づくのね。
乗り越えるのね。決意するのね。
台本の通り行動しても、そのときの気持ちは嘘じゃないと。
いま、ここにいる二人が、お互いを愛する気持ちを大切にし、その気持ちをいつまでも忘れず胸にしまっておくことが、いま二人にできることなのだと。
最終日、大学の教室で絵を描きながらこれまでの(これからの)ことを語るのは…ニクいね。
夜の12時前、駅のホームで二人座って、高寿は言うわけですよ。
「ぼくたちはすれ違ってない。端と端を結んだ輪になって、ひとつにつながってるんだ」「二人で一つの命」なんだってね。溺レスキューと祭レスキューで命を助けあった二人、そのどちらかが欠けてもいけなかった。
ふたりとも30日間の記憶を心の糧にして生きていくんでしょうな。
「また会える…かな」「また会えるよ」の連続攻撃も...ニクイね。
ラスト、エピローグ的に時間反転しての愛美ちゃん視点√ もあってお得感がある。複数回視聴で無限ループも視野に入る。
見ての通り、京都(+枚方)のプロモーション映画でもある。
叡電、 京都市動物園、三条大橋、京都府立植物園、ひらパー、ガーデンミュージアム比叡、伏見稲荷、鴨川Δ、精華大などの京都在住経験者にはおなじみの場所が登場。いいなあ、ぼくも京都の街でデートしたかったぞ。
「修学院」や「宝ヶ池」などの駅名も、京都人(だったひと含む)はけして聞き流すようなことはあるまい。
<おまけ>
・よく見たら一日の流れは二人とも同じで、完全に逆じゃないのが少しツッコミどころか(上図参照)。
・予言のままに行動する/しない、が運命を変えるか、予言は自己成就するか、というMacbeth等でおなじみの旧くて新しいテーマが顔を出す。
結論は出していないが、基本的には筋書き(台本)を利用しつつ、たまにレールから外れることにした模様。
・高寿当初の不利は情報の非対称性に起因する。
TAKATOHIはEMIに教えた。EMIは教えていない。
・15日目ごろに二人がドッキングしたのは、お互いの仲が深まり、ふたりの倖せゲージの積が最大化したポイントやったからなんやね。
※Happy-t (t=15)×Happy-e (t=15) > Ht- (t=tx≠15) × H-e (t=30-tx)
※とはいえ15日で急襲とは、かなりのスピード勝負だったなと思うね。おとなしそうな顔してなあ…(どちらがとは言わない)。
・20-20で逢えるのは30日間限定。ってことは恋人になれるのは今回の30日間だけなんやね。
15と25はまあアリっちゃアリだけど犯罪の香りがするし、10と30はさすがにマズいしね。