Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

この世界の片隅に

著者:こうの史代
評価:B+

【評】
原作とアニメが睦み合い、相互い補完する内容となっている。

<映画との主な相違点>
●「うちも知らんまま死にたかったなあ……」の意味が映画より強烈。
日本人は暴力を加えられていた被害者でもあり、加えていた加害者でもあったことが、降伏による空襲の終了と太極旗掲揚で明らかになるわけですな。

●「冴えん」「歪んどる」に加え、
標準語で綴られるすずのモノローグ・内面描写がより深く、暗い。
明るくぼーっとしているだけの人ではないことがわかる。

●リンとすず、リンと周作の関係を掘り下げる。
というか単純にリンの登場回数が多い。
りんどうの柄、帳面の切れ。
すずが「代替品」か否かはキミの眼で確かめろ!
 
誰でも何かが足りんぐらいでこの世界に居場所はそうそう無うなりゃせんよ すずさん
 
●実験的作風。
裁縫や料理教室、暮しの手帳然とした描写
同サイズのコマが連続する、筆ペンで描く、左手で書く、など。
鬼イチャンや兄への手紙、ねえさんの人生相談、愛國いろはかるたも特徴的。
どうでもいいけど第20回の表紙がお気に入り。

●「どこにでも宿る愛」のある一連の詩(?)。
周作さん ありがとう 
この世界の片隅に うちを見つけてくれて
ありがとう 周作さん