著者:傳田光洋
評価:B+
【評】
「脳だけで意識は生まれない。脳と体、とりわけ身体と環境との境界をなす皮膚との相互作用で意識が生まれる」という考えに基づき、いろいろな領域にわたって皮膚、身体感覚論を展開する。
筆者の留学記、皮膚の「brick&mortar」構造、五感に対する受容体の応答などの話のあと、
「人間の皮膚が単なる境界ではなく、環境の情報を感知し、ある程度の情報処理を行い、さらにそれに基づいて、適切な「指令」を全身、そしてこころにまで及ぼしうること」
を示す。生理学、生物学、心理学などさまざまな実験や科学者の言葉が引用される。
「病は気から(その逆の、気は病から、も)」ってどうやらホントみたい。
そして我々の精神と肉体は截然と分けられるものではなさそうだ。
さらにはシステムと個人、芸術と科学にまで話が広がる。
知的興奮を味わいたいキミはゼヒ。