評価:B+
【粗評】
生物が突然変異にうったえるときは、伝家の宝刀を抜くときである。
突然変異をもってきて説明しなければならないかぎり、どうしたって、ランダムな無方向性の突然変異ではなく、方向性を持った突然変異が、つぎからつぎへと、累積的に、進化史としては比較的短時間のあいだに、おこってくれないことには困るのである。
「偶然の突然変異」と「個体間の自然淘汰」 を土台にしたダーヰン進化学の主流に果敢にダイブした今西。
そんな今西進化学のエッセンスをエッセイ&講演計六篇に凝縮。重複が多いのは御愛嬌。
種間の調和・棲み分け、種全体の方向性を持った進化など。とくに前者は日本的情緒にしっくりくる。
ついでに学者のタコツボ化、還元主義にメガトンパンチ。