評価:B+
【粗評】
A UNIVERSE FROM NOTHING.
を青木薫が訳す。Nothing vs. Something.
20世紀以降の宇宙論・宇宙観をの変遷を概観したあと、
「なぜ何もないのではなく何かが存在するのだろうか?」について考える。
「神」や「人間原理」に逃げないところが男前。
むしろことあるごとに神学者たちにケンカを売る反神論者。
曰く、「自分の選択について知的に誠実でありたければ、啓示ではなく、事実にもとづく知識を得た上で選択すべきだろう」。
全体的に軽めのノリ。
「直接的には観察できないほど短い時間のうちに、仮想粒子がぽっかりと生まれては消えていく世界」
では、「何かある」のと「何もない」のとの区別が消滅しつつある。
師、答えて曰く、
つまるところこの問いには、なぜ赤い花もあれば青い花もあるのかと問うことと同程度の意味しかないのかもしれない。
(中略)
真に有益なのは、この問題について思いをめぐらせることではなく、われわれの生きるこの宇宙はどのように進化したのか、現在はどのように進化しているのか、そしてわれわれの存在はどんなプロセスに支配されているのかを明らかにするための、胸躍る発見の航海に参加することなのだ。
【学んだこと、生かしたいこと】
あらゆる天体の質量は、重力レンズ効果とX線放射の測定を組み合わせて求める。→暗黒Mの存在が確実
マイクロ波背景放射の測定により、宇宙は平坦であることがわかった
宇宙の曲率から銀河の全Eがわかる。平坦なので0→宇宙は無から生じたといえる
マイクロ波背景放射の温度ゆらぎから、原初宇宙の密度ゆらぎがわかる
Dirac方程式の精度から、反粒子の存在が確実
赤方偏移宇宙の膨張は加速している→暗黒Eの存在が確実
軽元素の存在比はビッグバン理論を裏付ける
【その他・リンク】