職人
職人 (岩波新書) [新書]
著者:永六輔
評価:B
職人たちの名言集と考えて差し支えない。後半は読まなくていい。
現代社会と職人仕事の親和性や、職人とはいったい何なのかを考えさせられる。現在では、本書が刊行された90年代半ばよりも、さらに職人が消えてしまっているのだろう。
消える職人もいれば、新たに生まれる職人もいるのではないかと思う。アナログではなくデジタル方面に。
「人間、ヒマになると悪口を言うようになります。
悪口を言わない程度の忙しさは大事です」
「職業に貴賤はないと思うけど、
生き方には貴賤がありますねェ」
「頭の悪いガキをつかまえて、頭を良くしようとするから、世の中が無理がいく。
頭の悪いガキには、それなりの生き方を探してやるのが大人の責任じゃねェのかねェ。
いいんだよ、多少は頭の悪い方が。
愛嬌があってさ、世の中けっこう楽しくやれるもんだぜ。
政治家にだって、頭の悪いやつがあれだけいるってのにさァ」
「おい、若ェの!
何もできなくっていいから、せめて、元気のいい返事ができねェか」
「掃除がきちんとできない奴は、ロクなもんじゃありません。
ものをつくる人間は、まず掃除から修行すべきです」
「目立たないように生きる――
昔はそういう考え方でしたよね。
いまは、目立つように生きる、そうなってますわね」