乳房
乳房 (講談社文庫) [文庫]
著者:伊集院静
評価:C
かつて『ギンギラギンにさりげなく』を作詞した伊集院静の出世作らしい。伊集院光にあらず。
ちなみにこの著者、夏目雅子の夫です。表題作には彼女らしき人が出現。
離婚歴のある中年のオッさんたちが主人公なので、あんまり読んでて気持ちがいいとは言えないが、まあ小説らしいといえば小説らしい。自分がもっと大人になったら感じ方も変わるかもしれない。
『大人の流儀』の、「愛する人との別れ~妻・夏目雅子と暮らした日々」も読まねばならないだろう。
●くらげ
くらげの出現がやや唐突か。海難事故に注意。
●乳房
表題作。作中の里子には、「大きな目」「切れ長の目」など、雅子的要素が。
彼女は夫をパパと呼んでいたようだ。
●残塁
大学の野球部も恐いんですね。罪作り津森。
●桃の宵橋
とんでもねえ家庭だな。
“そのおばあちゃんが、私が嫁ぐ前に言ったの。『男の子、三人産んだら、ひとごろしをなじっちゃあいけないよって。女の子、三人産んだらお女郎さんのこと悪く言っちゃあいけないよって』ね。”
というセリフが気になった。
●クレープ
父親と、母親に引き取られた娘とのぎこちないデートにニヤニヤ不可避。
5篇のなかで一番センター試験に使われそうな気がする。あんまりこの作者らしくない作品とも言えるが。