【概要】
著者(監督):上阪欣史
橋本が社長に就任した2019年以降の改革を主に紹介。トヨタなどの大口顧客との衝突や呉地区の製鉄所閉鎖も話題になったが、今はUSスチール買収がアツい。基本的にトップダウンで、以下のような改革を実施(先代以前からのものもあるが)。
①過剰生産能力の削減、各拠点の統合、各拠点設備の全体最適化⇒キャッシュ創出、損益分岐点の低下
②価格決定権の回復(技術力や供給能力を盾に大型顧客と強気の交渉)、資源会社への出資による原料の安定供給
③汎用品から高付加価値製品(高級鋼など)へのシフト、蓄積されたデータ・技術を背景にしたソリューション提供型の製品・サービスへの転換
④M&Aによる海外一貫生産拡大(タイ、インド、アメリカ?)
まだ評価を下すには早い気もするが、日立とかソニーとかと同様に売り上げ(≒企業価値)10兆円クラスのJTCの改革成功例として参考になるかも。素材系JTCは鉄鋼でなくとも参考になるはず。とにかく「事上磨練」で反発を恐れずやるべし。
果敢な国内設備投資、「デジタルスーパー刀鍛冶」をめざした操業自動化、トラブル対応の形式知化、水素還元や高炉から電炉へのシフトなど、DX・カーボンニュートラルにも対応していることをアピール。
<目次>
- 第1章 自己否定から始まった改革 5つの高炉削減、32ライン休止の衝撃
- 第2章 「値上げなくして供給なし」 大口顧客と決死の価格交渉
- 第3章 異例のスピードで決断 インドで過去最大M&A
- 第4章 動き出すグローバル3.0 「鉄は国家なり」の請負人に
- 【コラム】インド発 踊る製鉄所見聞録
- 第5章 国内に巨額投資の覚悟 高級鋼で勝ち抜く「方程式」
- 【コラム】石油会社が認める高級鋼「油井管」の謎
- 第6章 脱炭素の「悪玉」論を払拭せよ 鉄づくりを抜本改革
- 第7章 「高炉を止めるな!」 八幡の防人が挑む改革後の難題
- 第8章 原料戦線異状あり 資源会社に巨額出資
- 【コラム】「鉄人」列伝 新風を吹き込め
- 第9章●橋本英二という男 野性と理性の間に
<メモ>
- 冒頭の「ご安全に!」やTPMなどの製造業あるある、みんな好きだよね?
- 法務や研究開発、生産技術、エンジなどの仲間たちの活躍もコラム的に語られる。人材厚そう。