【概要】
著者(監督):野地秩嘉
『不毛地帯』から来ました。ややマンセー気味ではあるが、伊藤忠商事の創業から近年進む岡藤の働き方改革までの会社紹介といったところ。やはり伊藤忠の名前は創業者名から来ているのかあ。
近江商人から身を起こした初代忠兵衛。すき焼きをふるまったり店内教育を行ったりと従業員の福利厚生に創業期から取り組んでいたことを指摘。つまり近年の働き方改革はいきなり出てきたものではないと。教育費補助や副社長の勤務地への差し入れといった点で現在も福利厚生が厚い点をアピール。
二代忠兵衛が実質創業者。戦争の荒波を乗り越えた後は、瀬島龍三、越後正一といった中興の祖が進めた業務本部の構築、鉄鋼、石油、自動車への進出・挑戦など、いろいろな経験を経て繊維商社から総合商社三強の一角へ登り詰めていく。
「か・け・ふ(稼ぐ・削る・防ぐ)」「お客様の半歩後ろを歩け(≒マーケットイン)」などのキャッチ―なフレーズを紹介しつつ、総合商社の何たるかを解説。非資源系の総合商社は何をやっているのか分かりにくいが、コンビニに行けば総合商社のやっている仕事が分かるらしい。総合商社の主な機能は、①オーガナイザー②事業投資③金融(与信)④情報収集とのこと。トレーディングというよりは事業投資がメインになってきており、儲かりそうな事業を見つけ出し、事業性・収益性を数字で厳しくチェックした上で投資すべし。ビジネスモデルやサプライチェーンを俯瞰した商流の整理・整備も必要。
本筋とは関係ないが、「~させて頂く」が浄土真宗の強い上方由来であること(説)は知らなかった。
【詳細】
<目次>
- プロローグ 社員との約束
- 第一章 伊藤忠の原点
- 第二章 財閥系商社との違い
- 第三章 戦争と商社
- 第四章 総合商社への道
- 第五章 高度成長期における商社の役割
- 第六章 自動車ビジネスへの挑戦
- 第七章 オイルショックの衝撃
- 第八章 下積み時代の教訓
- 第九章 バブルの残照
- 第十章 商社の序列
- 第十一章 コンビニ事業への参入
- 第十二章 ITビジネスへの飛躍
- 第十三章 か・け・ふ
- 第十四章 あるべき姿とめざすべき姿
- 第十五章 日本と総合商社
- 第十六章 CEOの決断
- エピローグ 花見と桜と
<メモ>
5大商社:
- 三菱、三井、丸紅:資源
- 伊藤忠、住友:非資源
繊維産業トリビア:
- 軽工業とりわけ繊維産業発達は洋服が軍服・制服の需要が高まり新たなマーケットができたため
- ガス糸とは糸の表面の毛羽立ちをガスの炎で焼き取ったもの
- スフとはレーヨンの短繊維
the-adventure-of-chubei-itoh.jp
https://www.buffett-code.com/industries/146
・誤植:p.286 L15 もうけるける