【概要】
著者(監督):堺屋太一
『知価革命』でおなじみの彼が自ら太鼓判を押す「日本経済の曲がり角に表した自慢の著作」。問題意識をもって日本組織の点検し体質・気質の創成に資すること、そして組織論・組織学の体系を広めることを主眼とする。ジャポンがまだ繁栄を謳歌する1993年に書かれた警世の書だった模様。今読むとやや古いところもあるが、組織学概論として読んでもなかなか面白い。
豊臣家・帝国陸海軍・日本石炭産業などのケーススタディ後、組織が死に至る病として「機能体の共同体化」「環境への過剰適応」「成功体験への埋没」を挙げる。いつの時代も内的・外的要因に臨機応変に対応して変化することのできない組織は衰亡する。米軍海兵隊はよくその逆と言われているが🐸
また、当時胎動しつつあった情報社会に向け、日本社会や経済に変革を促していたりもする。すでに時間当たり生産性が低かったようだ。
組織の良さ:大きさ(規模)、固さ(結束力)、強さ(目的達成力)の3つのバランスを維持して成長するのは難しい。
【詳細】
<目次>
- はじめに
- 第1章 巨大組織の生成から崩壊まで――三つのケース・スタディー
(1)豊臣家――人事圧力シンドロームと成功体験の失敗
(2)帝国陸海軍――共同体化で滅亡した機能組織
(3)日本石炭産業――「環境への過剰適応」で消滅した巨大産業 - 第2章 組織とは何か
(1)組織の要素
(2)「良い組織」とは
(3)組織の目的
(4)共同体と機能体
(5)強い機能組織を作った織田信長――もう一つのケース・スタディー - 第3章 組織管理の機能と適材
(1)人間学と組織論
(2)トップの役割
(3)現場指揮者と参謀
(4)得難い補佐役
(5)後継者 - 第4章 組織の「死に至る病」
(1)機能体の共同体化
(2)環境への過剰適応
(3)成功体験への埋没
(4)組織体質の点検
(5)組織気質の点検 - 第5章 社会が変わる、組織が変わる
(1)知価革命と組織変化
(2)情報技術の変化
(3)高齢化社会と人事圧力シンドローム - 第6章 これからの組織――変革への五つのキーワード
(1)経営環境の大変化
(2)三比主義からの脱却
(3)「価格-利益=コスト」の発想
(4)「利益質」の提言
(5)ヒューマンウェア(対人技術)の確立
(6)経営の理念=あなたの会社の理想像は - 著者解説
- 今こそ、読んで欲しい作品
(1)日本経済の曲がり角に著した自慢の著作
(2)二〇二〇年のあとこそ重大
<メモ>