【概要】
著者(監督):小関智弘
"粋な旋盤、小粋な仕上げ、馬鹿でもできるターレット"という言葉があって、旋盤工は機械工の花形だといわれたが、いまではそんな言葉も通用しない。
(中略)
大工が鉋とノミで勝負する時代が終わったように、旋盤工も、バイトで勝負する時代ではなくなった。"段取り八分"といって、その仕事をどういう段取りでするかが、"腕"の見せどころだといわれたが、ナライ旋盤やNC旋盤の出現によって、それらは専門化されてゆく。大工が次第に市販材料の組立屋になりつつあるように、旋盤工は単なる機械の操作者となりつつある。(中略)
仕事そのものを通じても、奪われた粋を、もう一度回復させようとする、粋な闘いを闘ってもよいのではないか。
旋盤工らしからぬ文才で活写する町工場や各種技能工の日常。基本的には普段のできごとから話し始め、経済成長や技術革新に伴う機械化や合理化による人間疎外への怒り、手仕事への愛着、経営側との闘争・労働争議に着地するパターンが多い。
技術を見て盗む時代、自分の作るものや工作機械の仕組みや扱いを体得していた「ものをつくる者だけが知っている豊かさ」の一端が煤煙や機械油と共に舞い戻ってくるではないか。後ろの古いのより新しいエッセイの方が面白い。
【詳細】
<目次>
- 粋な旋盤工
- ベルトのリズム
- 沈黙あるいは負の表現
- 旋盤工の三八銃
- マニラ麻の刃物
- 朝鮮おやじ
- いつも「異状ナシ」
- 十年ぶりの電話
- 内職いろいろ
- 間の抜けたスリ〔ほか〕
<メモ>
最近は「ナッちゃん」を読んでいる。そのうち。