【概要】
著者(監督):斎藤充功
出た、アウトロー文庫。
日本が誇る脱獄王・白鳥由栄、その脱獄するために生まれてきたような能力・人生を本人証言で描き出す。①青森②秋田②網走④札幌と、とにかく寒そうなとこにばっかりいる。「あまりにも簡単に本人が承知してくれた」ことに読者も驚くが、やはり本人インタビューを敢行しているのは大きい。
「記憶を呼び起こすため、私は、当時の新聞記事、地図、そして取材ノートを白鳥に見せ、記憶の欠落した部分を二人で埋めていった」光景にほのぼの。
土蔵荒らしや蟹工船で覚えた犯罪基礎技能、頑健な肉体・気力・五感。「なにがなんでも逃走してやる」「人間の作ったもんは必ず壊せる」という信念と執念、実行力。一部の刑事や看守、世話人、篠原のお嬢さんと、人には結構恵まれており、「根っからの悪党ではなかった」などと評されていることから、もっと前半生に彼らのような人と出会えていれば、もっと善のために能力を発揮できたかもしれない。
ガッツリ人殺ししているが、待遇改善のために脱獄する、親切な看守が非番の日に脱獄する、野山潜伏時に退屈すぎて野鳥とふれあう、など仁義やカワイさを感じさせるエピソードもある。五寸釘寅吉も友情出演。
【詳細】
<目次>
- 府中刑務所出所
- 白鳥との出合い
- 事件を追って
- 青森脱獄
- 秋田脱獄
- 網走脱獄
- 札幌脱獄
- 東京へ護送
- 府中在監
- 人間・白鳥
- 出所後の白鳥
<メモ>
〇極意
- 時期:真冬は避ける
- 「なにがなんでも逃走してやる」という執念を忘れず、少しずつ準備を進める。
- 針金、釘、ブリキ片、味噌汁、手に入るものはなんでも使って拘束具や設備を破壊する。秘技・貧乏ゆすり床板斬り。
- 狭い隙間であっても、窓枠・床下から身体を脱臼させて脱獄する。
- 野山に数年潜伏できるくらいのサバイバル能力を鍛えておく。
〇アウトロー文庫シリーズ
〇吉村昭も書いておるぞ
〇モデルとした彼が出ておるぞ