【概要】
著者(監督):向野賢治
「ナイチンゲールの感染対策は身体の清潔、清掃(環境の清潔)、換気(空気の清潔)の三つから成り立っている」。コロナのご時世的にタイムリーな内容。時代的に病気のミクロ的な理解は今一歩だったとはいえ、換気や清潔さに着目したあたりは慧眼。曰く
- 「この世で最も幸せな者、その職業を最も愛している者、その人生に最も感謝している者、それは病人の看護に従事している者である」
- 「病院が備えておくべき第一の必要条件は、病院は患者に害を与えないことである」
- 「私は殺された兵士たちの祭壇の前に立っている。そして、私は生きている限り、その原因と戦う」
クリミア戦争への従軍で肉体的には再起不能となるが、『英陸軍の死亡率』の鶏頭図開発に代表される超人的頭脳を持ったナイチンゲールは計数に明るく、さまざまな医療改革を進めた。著者曰く「データ怪獣」。そんな伝説的なナイチンゲールの人間性を各種トピックから浮き彫りにする。兵舎病院を取り仕切るあたりはカッコいい。
著者、本書の上梓はもちろん、「ナイチンゲール誓詞」まで作成するぐらいの熱の入れようだ。英国人ありがちネームに対して「名前のつけ方が安易すぎないか……」とつぶやいたり、ロマンスについて「下手な空想はこの辺で止めようか」とセルフツッコミを入れたりと筆が暴れがち。
【詳細】
<目次>
- 序章 ナイチンゲールの生涯
第Ⅰ部 家族、病気、宗教
第Ⅱ部 「空気感染」対策の母
おわりに
<メモ>