【概要】
著者(監督):岸川真
映画向けのシナリオの書き方や三段階構成について伝授する。いわく「創作的なお通じをよくする浣腸のようなことをやってみます」。ホラーやアクションなど各ジャンルの型、を名作映画たちを例にとって解説。職業柄とはいえ映画観すぎ。著者自身の書いたシナリオ例も巻末付録として付属。シナリオ製作時の実況中継が面白い。
Tipsとしては、初稿は3日で一気に書き上げる、テーマを先行させない、生活感を出す、映画への野蛮な知性を持つなど。やはり小説などのテキストだけで勝負する媒体に比べると、ト書きや絵コンテのような映像的な側面が強い。日本映画業界のお寒い(2010年頃)状況についても触れる。
【詳細】
<目次>
- 序 創作的便秘を治療します(狂気の旅へようこそ)
- 第1講 シナリオの基礎(シナリオは「必要」から生まれる;ストーリーを語るだけがシナリオではない ほか)
- 第2講 「型」から見る映画・シナリオ(映画には「型」がある;「型」を意識して、シナリオを書く ほか)
- 第3講 ドキュメントシナリオ・ライティング(発端編;葛藤編 ほか)
- 第4講 新しい映画人のために(シナリオ採用に必要な条件;書き直しは納得したうえで ほか)
<メモ>
●シナリオが書けるまで
①自分の内にある物語(内的プロット)を探す
・よく知っている人物・物語を探す
・自分の体験から探す
・自分の願望を思い描く
②好きなジャンルに当てはめて構成を考える(外的プロットを作る)
・好きな映画・ジャンルを思い浮かべる
・お約束や型を知る
・内的プロットを外的プロットへ昇華
・ケース/キャラクタードラマのいずれかを決める
③好きなジャンルを意識してシナリオを書く
・プロット、コンストラクション表、主要登場人物表、地図、心理表を準備
・型を意識して書く
・3日間で書く
●シナリオの三段階構成
〇発端=主人公に巻き起こるドラマのスタート(=序盤)
〇葛藤=登場人物の織りなす関係や出来事がからまり合う(=中盤)
〇解決=さまざまな出来事が解決へ向かう(=終盤)