【概要】
著者(監督):日下公人
今村均は日本軍という恐竜のような巨大組織の中にいて、けっして自分を見失わなかった。英知に裏づけられた美しい生き方を私たちに示してくれる。
戦争遂行能力というよりは徳の高さで高評価を受けている旧日本軍人・今村均の人生を題材に取り、彼の回想録を引用しつつ人生訓を抽出する。
顔の立て方とか、それでいて自分の意見を通すとか、組織の全体最適を考えるとか、大事件に至る前の日常的な小事件のうちに対処するとか、普段からやろうとしていることの準備を行うとか、責任者が矢面に立つとか、今村のエピソードから役立ちそうな戦訓を採集する。若干ビジネス寄りの内容で、今村が南方の指揮官になろうかというあたりで終了するので、いまや伝説となっている彼の戦後の責任の取り方を期待するとちょっと物足りない。もっと彼の人生、特に戦後を知りたいところだった。
実は夜尿症だったとか、そのせいで日中眠くなりやすかったとか、英国から帰るまでは結構キレやすかったとか、陸大試験でしどろもどろになったとか、剣術指南とか、炊事当番適正化とか、なかなか彼のエピソードが興味深い。
【詳細】
<目次>
- 第1話 陸軍士官候補生
- 第2話 陸大入学
- 第3話 陸大卒業
- 第4話 佐々木一等兵
- 第5話 炊事当番兵
- 第6話 ノックス事件
- 第7話 小柳津少佐と少年給仕
- 第8話 上原勇作元帥
- 第9話 思想犯とされた兵
- 第10話 大激戦
<メモ>
今村も部下にオススメしていた倉田百三著『出家とその弟子』を読むとよいぞい。