Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

同志少女よ、敵を撃て

同志少女よ、敵を撃て

【概要】
著者(監督):逢坂冬馬

「ドイツ軍も、あんたも殺す! 敵を皆殺しにして、敵を討つ!」

独ソ戦ソ連サイド)×女スナイパーという、日本では比較的珍しい題材。キャラ付けや読みやすさが適度にライトめで次世代ノベル感がある。シスターフッド的な女学生デイズとドイツ軍との死闘のコントラストが印象的。いったい「敵」とは何を指すのか。

友情、努力、勝利、そして復讐。あるいは…愛。憎き教官との出逢い、訓練学校での修練、初陣と仲間の死、スターリングラード市街戦、レジェンドの特別講義、ケーニヒスベルク攻略、そして戦後……時代の流れに翻弄された彼女たちが最後に掴んだものやいかに。

『戦争は女の顔をしていない』その他の本に着想を得たと思われる、女性兵士に注がれた英雄視と蔑視、戦場の性暴力、つかの間の恋愛、大祖国戦争という神話、拷問など、一般読者も独ソ戦に興味を持つことが期待できる。赤軍、粛清、NKVD、ウクライナ、コサック、コルホーズなど、ロシア史も気になってきた。『戦争は女の顔をしていない』や『独ソ戦』などと併せて読んでみては。

 

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【詳細】

<目次>

  • プロローグ
  • 第一章 イワノフスカヤ村
  • 第二章 魔女の巣 
  • 第三章 ウラヌス作戦
  • 第四章 ヴォルガの向こうに我らの土地なし
  • 第五章 決戦に向かう日々 
  • 第六章 要塞都市ケーニヒスベルク 
  • エピローグ

 

<メモ>

「ドイツ軍も、あんたも殺す! 敵を皆殺しにして、敵を討つ!」

復讐の鬼、爆誕

 

「相手を侮るな、自分だけが賢いと思うな」

スナイパー以外にも活用できそう。

 

「お前たちは数秒のうちに角度、距離、標的の大きさを計算し、そしてそこへ向けて銃弾を放って敵を殺し、その後自陣へと戻る。 それができなければ死ぬ!」

スナイパー同士の知能戦に向けて修行だ。

 

自分が怪物に近づいてゆくという実感が確かにあった。
しかし、怪物でなければこの戦いを生き延びることはできないのだ。

 

「戦後、狙撃手はどのように生きるべき存在でしょうか」
講堂に緊張が走った。
異質な質問。そして、狙撃兵たちが抱える共通の何かを刺激する質問だった。
一瞬床を見たパヴリチェンコは、ほとんど間を置かずに答えた。
「第一に、戦後のことを考えるのは早い。 ドイツ降伏の日まで気を抜くな」
一度瞬きをして、第二に、と彼女は答えた。
「私からアドバイスがあるとすれば、二つのものだ。誰が愛する人でも見つけろ。それか趣味を持て。生きがいだ。私としては、それを勧める」

 

同志少女よ、敵を撃て。
まるで渦潮が船を呑むように、セラフィマの感情は収斂し、左手に感覚が戻り、狙撃手の持つ一筋の殺意と化して、彼女の操るライフルは、赤軍兵士たちの頭に照準線を合わせた。

ミハイル君の変貌に涙。戦争が悪いんや。戦争が。

 

「私は、あなたの側にいます!」
視界は涙でぼやけた。嗚咽を漏らして泣いた。
ずっと分かっていた。イリーナが、自分を生かしてくれたことを。虚脱し、 生きる気力を失い、ただ死を望むだけだった自分を、生へと向かわせたことを。
そして狙撃兵として、殺人者としての苦悩から救うために、その苦痛を背負っていたことを。
お前を殺し屋にしたのは自分だ、と繰り返すことで、懊悩から救っていたことを。
思えば、それこそが生きがいだったのだ。
イリーナは行く先々で娘たちを見つけ、同じ問いを投げかけた。
戦うのか、死ぬのか。

戦うと答える者に戦いを教え、セラフィマのように死を望んだ者を再起させた。
両方を拒絶する者にはその道を教えた。ターニャのように。そして、狙撃学校で脱落していった仲間たちがそうであったように。
リュドミラ・パヴリチェンコが言った生きがい。 彼女は、女性を救おうとしていた。自分よりも早く、そしてより深い意味を持って、同じ生き方を選んでいた。
「だから私の側にいて、イリーナ………」
上官と部下の言葉でもなく、教官と生徒の間でもない。
ただ個人の間に存在する感情に身を委ねて、セラフィマはイリーナに問いかけた。
「責任を感じるのなら、私と一緒に、イワノフスカヤに。私が帰る場所に………私と、他に誰もいない場所に……」
呆然としていたイリーナは、やがて呆れたように微笑んだ。
「お前は… いつも、私の予想を覆す。最後までそうだった」
はい、と答えた。そして何を思うこともなく、唇を重ねた。
「覆しすぎだ」
笑って、イリーナもキスを返した。
シャルロッタとよくするキスとは、少し違う感触がした。

憎さ余って…。

 

(その他)

  • 占領地域の暮らし。生きていくにはいろいろ頑張らんといかんのだ。
  • バーニャ突入シーンでゴールデンカムイ思い出した。
  • 市街戦のとき炊事の煙で気づかれたりしなかったんだろうか?

 

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