Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

古代中国の24時間

古代中国の24時間 秦漢時代の衣食住から性愛まで (中公新書)

【概要】
著者(監督):柿沼陽平

かりに読者が秦漢時代の世界にワープしたらどうなるかを考え、ロールプレイングゲームの体裁をなるべく崩さなようにしながら、当時の日常生活について描写することとした。願わくは之を語りて現代人を戦慄せしめよ。

なろう系よろしく、現代人(翻訳コンニャク摂取済み)が千数百年前の古代中国にタイムスリップする設定。『遠野物語』風。副題にある通り、衣食住よりも性愛を取り扱った「歓楽街の悲喜こもごも」の章が印象に残る読者が多いのでは。

 

【詳細】
<目次>

  • プロローグ―冒険の書を開く
  • 古代中国を歩くまえに
  1. 夜明けの風景―午前四~五時頃
  2. 口をすすぎ、髪をととのえる―午前六時頃
  3. 身支度をととのえる―午前七時頃
  4. 朝食をとる―午前八時頃
  5. ムラや都市を歩く―午前九時頃
  6. 役所にゆく―午前十時頃
  7. 市場で買い物を楽しむ―午前十一時頃から正午すぎまで
  8. 農作業の風景―午後一時頃
  9. 恋愛、結婚、そして子育て―午後二時頃から四時頃まで
  10. 宴会で酔っ払う―午後四時頃
  11. 歓楽街の悲喜こもごも―午後五時頃
  12. 身近な人びとのつながりとイザコザ―午後六時頃
  13. 寝る準備―午後七時頃


<メモ>

かれらもけんめいに生きてはいるが、かといって二四時間つねにがんばっているわけではない。しかもこうした「生」のあり方は、じつは階級に関係なく、ほぼすべての人間がもちうる側面であろう。古代中国の皇帝さえも、朝から晩まで天下安寧を考えているのではなく、つまらない会議に参加しているときには鼻毛を抜くのに必死で、トイレをしたあとはりっぱな大便にみずから満足し、宴会では美女に夢中かもしれない。筆者がめざしたのは、そうした人びとの日常的な「生」のあり方をもすくいとることであった。

10年にわたって日常系の記述を集めた著者が、24時間の生活ドキュメント風に再構成。儒教道徳の建前の中で奮闘していた人々の息遣いが感じられるかも。以下、その例(特殊例だとは思うが)。

  • 遊牧民の習慣では、美少年が痰壺がわり。
  • 座って大便しながら侍従と会話する皇帝。
  • 歯がなくなったので乳母代わりの女性の母乳を飲んだ老人。
  • 笑点のごとく八九枚も敷物を敷くイベント。
  • 兵馬俑はオーダーメードではなく、汎用パーツの組み合わせ。
  • 痔の治療法の一つは他人に患部を舐めてもらうこと。
  • 漢代のW張形。
  • 「君の字(あざな)は」…諸葛亮孔明はキラキラネーム(姓名字)。

 

美人は、涼しげな目(明眸)・白い歯 (皓歯)・白い腕(皓腕)・細いウエスト(柳腰・繊腰・楚腰・ツルツルの肌(玉体)・なだらかで細い眉毛 (峨目眉)・赤いくちびる(朱脣・丹脣)・細い指(細指)などと形容され、それらをバランスよく備えるのがよい。その美しさは「桃・李の若し」「朱顔」「妖にして且つ閑なり」などとも評されるものである。要するに「ほっそり色白で、頬がほんのりピンクな美人」がよいのである。

細めの楊貴妃(; ・`д・´)