【概要】
著者(監督):森見登美彦
エッセイや寄稿、巻末解説など、もろもろの数ページ程度の文章を集めたもの。読みやすく区切りやすく、曰く「眠る前に読むべき本」。重複はあれど、モリミーの世界観や思想について、よりディープに知ることができる。小説家になりたければ「とりあえず書く」ことが大事。
「私は自分の妄想と言葉で作った京都に惚れている」とのことで、ライフル射撃部や吉田山その他の京大生御用達スポットの話は興味深い。メンタルがばたんきゅーしていたことや、奈良や大阪にも縁があることは知らなかった。
【詳細】
<目次>
- 第1章 登美彦氏、読書する
- 第2章 登美彦氏、お気に入りを語る
- 第3章 登美彦氏、自著とその周辺
- 第4章 登美彦氏、ぶらぶらする
- 第5章 登美彦氏の日常
- 第6章 「森見登美彦日記」を読む
- 第7章 空転小説家
<メモ>
小説や人生の核となる「心惹かれるもの」についてヒントを得られる。近畿在住者や京大生は親近感を覚えること間違いなし。
例)下鴨納涼古本まつり、大文字山、南禅寺水路閣、キャンプ、ロンドン留学、レゴ、モミマン、砂の器、太陽の塔、精神的パンク、青春18きっぷ、ライフル射撃部、進々堂、四畳半、大和西大寺駅、妻の「なむなむ」…
現在の私があるのは、すべて京都のせいである。学問に対して青雲の志を抱く若人は、ゆめゆめ京都に足を踏み入れたもうな、でないと私のように愉快な目に遭うばかりで、一向に勉強ができない。そのくせ、いざ京都から離れるとなれば、これがひどく切ない。割が合わないにもほどがある。
由緒正しき神社仏閣の隙間を、細かく名前のついた通りが縦横無尽に走り、あらゆる街角に故事来歴がまとわりつく、そのしんと落ち着いた街並みへ夢魔のように現れるファーストフードショップ、牛丼屋、コンビニエンスストア、レンタルビデオ店、自動販売機。それらの甘美さを心ゆくまで味わうことを、私は癒しの悪食と呼ぶ。