【概要】
著者(監督):乙一
アマチュアのボツ作品を改稿して一冊の有機的な物語に仕立て上げた。「小説の核」があればいくらでも面白くできるらしい。全体的にミステリ風味なので文章やストーリーの違和感に気づくと面白いかも。「青春絶縁体」もいいがやはり「ホワイト・ステップ」がベストか。視点切り替えの妙や幻想的な設定を楽しめる。
【詳細】
<目次>
- 小説家のつくり方
- コンビニ日和!
- 青春絶縁体
- ワンダーランド
- 王国の旗
- ホワイト・ステップ
<メモ>
〇青春絶縁体:身に覚えが!
クラスはよい雰囲気なんだけど、そうやって自分が孤立することによってその雰囲気をこわしているみたいでいたたまれなかった。自意識過剰気味なのはわかっている。クラスメイトたちがわらいあっているだけなのに、心のなかに住み着いているブタのように肥えた自意識さんが「嗤われているブヒー!」と叫ぶのだった。
外部とつながっていないからこそ可能になるコミュニケーションがある。自分たちだけの言語、文脈、僕と先輩にはそういうものがあった。僕たちは共通の文脈を育んで、それを愛おしいと感じていた。でも、決して、外部から言葉をもってきてはいけなかったのだ。
小説のなかの自分自身みたいに、無様でもいいから、坂道をころがりながら追いかければ、先輩の手をつかめるような気がした。小説がおしえてくれた。作中の自分が、作者である後に、僕がやるべきことを、しなくてはいけないことを、理想の結末を、おしえてくれたのだ。
『青春絶縁体』
これは僕の物語だ。
〇ホワイト・ステップ:やはりこれがベストか。
それとも ぼくたち それぞれ だれかを さがしてたのかな
はし で まつ
私が見つけやすいようにできるだけたくさんのメッセージをのこしておいてくれたのだろう。
いっしょに あるいた はしのうえ