Javaさんのお部屋(サム・ジーヴァ帝国図書館)

Javaさんのお部屋です。引っ越しました。詳しくは「はじめに」を読んでね。スマホ版は全体像が見えにくいから、PC版と切り替えながら見てね。

死体は語る

死体は語る (文春文庫)

【概要】
著者(監督):上野正彦

法医学者がエッセイ風に変死体のよもやま話をする。「もの言わぬ死体は決して嘘は言わない」らしい。死体との対話により彼らの死因や生存時の状況を探偵のごとく復元する。浅沼委員長殺害事件から日航機墜落事件まで、著者、エポックメイキングな事件に余さず関わっている模様。

 

【詳細】
<目次>
Ⅰ)

  • 死者との対話〇

監察医は臨床医とは全く逆の方向から、医学をみるのである。
まず死体がある。
なぜ死んだのかを調べていく。
やがて一つの死と、それにまつわるさまざまな事情がはっきりしてくる。
生きている人の言葉には嘘がある。
しかし、もの言わぬ死体は決して嘘を言わない。
丹念に検死をし、解剖することによって、なぜ死に至ったかを、死体自らが語ってくれる。
その死者の声を聞くのが、監察医の仕事である。

  • 人を食った話〇

空腹の猫は右頬から右耳たぶまでかじった。

  • 検土杖
  • 親子鑑定
  • 赤坂心中〇

生きている人は、痛いとかかゆいとか、すぐに文句を言う。そして何よりも死ぬ危険があるので、私にとっては、生きている人を診るよりは死体の方がはるかに気が楽なのである。
死体がこわいとか、気持ちが悪いという感覚は、医学を志したときからすでに持ち合わせていなかったような気がする。

 

女は自殺であるが、男は寝ているうちに巻き添えをくったので、不慮の中毒死になる。二人とも死んだのだから、そんな区別はどうでもよいと思うかも知れない。

  • 情交
  • 安楽死
  • 死者は雄弁である〇

弱い者はそうはいかない。首尾よく相手を倒しても、もしも相手が起き上がれば自分がやられてしまうという恐怖感におののき、何度もとどめを刺すのである。結果として惨殺死体になる。

  • 衝撃
  • 死者は生きている
  • 死後も名医にかかれ

Ⅱ)

  • 小さなアピール
  • 終焉〇

閉めきった押し入れ、温かい空気は上に行く。このわずかな温度差が、死後変化に大きな影響を及ぼしていたのである。
そんな話を前置きにして、現場を見直すと、窓から西日がさしていた。男には直射が当たり、窓ぎわの女は壁で日は遮られていた。掛け布団が男に余計かかっている。腐敗差はそのためであろう。たとえ、同じ部屋で一つの布団の中で死亡していても、ちょっとした条件の違いで、腐敗に大きな差が生ずることがある。

  • 相続人
  • 不信
  • 髪の毛
  • ミカン
  • 生命の値段
  • 個人識別〇

顕微鏡で傷の部分をみると、筋線維の断裂があるが、組織内に出血などは見当たらない。もしも生きている人が、このような傷を受けたとすれば、必ず出血が伴うものである。そして血球が血管周囲の組織の中にも、にじんでいなければならない。
この所見を生活反応があるといい、死んだ人に傷をつけてもそのような変化は起こらないから、生活反応はないと表現する。右手には生活反応はなかった。
とすると、男は死体となって漂流中、ヨシキリザメに右手を食いちぎられたことになる。

  • 保険がらみ
  • 崩壊
  • 医学と法律

Ⅲ)

殺して水中に死体を捨て、溺れたように見せかけた場合には、肺に水の流入があって、一見溺れたように見えるけれども、血液循環は停止しているので、プランクトンは体に吸収されていない。そこで本当の溺死とは区別がつく。さらに、臓器内のプランクトンの種類がわかれば、溺れた場所(川、池、海などの一定の区域)を特定することができるとさえいわれている。東京湾での浮遊死体を解剖し、種々検査してみたところ、川で入水自殺したものが、海へ流れ出たことがわかった事例もある。
ネズミモチにしろ、プランクトンにしろ、医学以外のものが事件解決に大きな役割を果たしている場合が多々ある。しかし、なんでも利用し応用する、この自然科学が私は好きなのである。

  • 木口小平
  • 検視と検死
  • 愛の頬ずり
  • 死者の側に立つ医学
  • 堕胎
  • サバイバル
  • 殺人者からの電話
  • 心臓麻痺
  • カレン事件
  • モナリザ

Ⅳ)

  • 命の残照
  • すばらしき提言
  • 責任
  • 夢の殺人
  • 酒は百薬の長か
  • アルコール依存症
  • 中高年者とスポーツ
  • 法医学は知っていた
  • 異なる結論
  • 死者の人権を守れ

 

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