【概要】
著者(監督):小川糸
鎌倉を舞台に代書屋さん(イタコかな?)がご近所さんと交流を深める。2018GWに鎌倉に行った時の記憶がフラッシュバック。
食事や風物への細やかな視線、やさしい比喩、紙や筆記具、字や文体の種類と使い分けの蘊蓄が興味深い。人は、心に傷があるからこそやさしくなれるのかもね。ご近所さんたちのお花見大集合やカップリング大団円もスッと受け入れられるやさしさがある。
ドラマ化してたのか。
【詳細】
<メモ>
- 代書屋という職業の矜持、スランプ、再生、受容。バーバラ婦人、男爵、モリカゲ親子たちとの温かい交流。そういった鎌倉の四季が主人公・鳩子を成長させる。
- 手紙を書くことは、心と一緒に体で文章を書くという身体的行為。手紙、書いてみようかな。
- 手紙の決まり事や鉛筆の濃さ記号などのトリビア。筆記具や切手、用紙などのさまざまな文具。インクの濃さ調整や蠟印などのテクニック。やわらかい文体と併せて、細やかな気遣いが感じられる。
下記、主なお手紙集。手紙シーンは絵 千変万化する文体や書体、紙の質感が味わえるよ(質感は感じて)。
- 権之助お悔み状
- 離婚報告
- 元婚約者への近況報告
- 謝絶状
- 義母誕生日祝い
- 天国からの手紙
- QPちゃんへのラブレター
- 絶縁状1
- 絶縁状2
- 先代への手紙
ふしぎ表現。
私にも、少しだけどおすそ分けの風が来た。
飲み込むと、体の中心に冷たいトンネルが貫通する。
いいものだけを透明なベルトコンベアーで運んできたかのような、ほのぼのとした風だった。
- 左下にパラパラ漫画が。手紙を運ぶ鳩。手紙から現れる光。
- バーバラ婦人のTips。
「あのね、心の中で、キラキラ、って言うの。目を閉じて、キラキラ、キラキラ、ってそれだけでいいの。そうするとね、心の暗闇にどんどん星が増えて、きれいな星空が広がるの」
<他>