【概要】
著者(監督):吉村昭
戦時中、権力から逃げ続けたある男の物語。
落下傘の窃盗、艦攻への放火、北海道への逃亡…淡々と逃亡劇の一部始終が描かれる。自分はやらないとは言い切れない怖さがある。
しくじりをごまかすために更なるしくじりを重ねる、というのは実生活でもやってしまいそう。
【詳細】
<メモ>
多くの微細な人間が、回転する歯車にかみくだかれて飛散し、終戦によってそれがようやく停止した時、そこにはおびただしい錫片屑のようなものが残された。
地獄への誘い。☟
「こんなことを言いたくはないが、終列車に乗りおくれた君をトラックで送ってやったのは私なんだぜ。ちょっと借りたいと言っているだけなんだ。すぐに返すから貸してくれないかい。もしも貸してくれたら、今後どんなことにでも相談に乗るから......」
「その大人たちが若年の身である自分を頼りにしていることに面映ゆさを感じた」。
うっかり門限に遅れそうになったときに、ある男の世話になってしまったがために魔のループに入り込んでしまった主人公。