【概要】
著者(監督):イ・ジュンイク
センシティヴになりそうな題材ではあるが、怨讐を超え、巧みな手腕と懐深さで愛の物語として昇華させた。シリアスな部分もあるが全編を通して暗さはあまりなく、鑑賞後は不思議とすっきりとした余韻が残る。日本語〜朝鮮語の巧拙グラデーションには役者魂を感じる。
【詳細】
<あらすじ>
朴と共に死ねるなら
私は満足しようーー
<メモ>
- 役者の日本語はネイティブ日本語話者と遜色ないレベル。イントネーションに若干怪しい人もいるが、日本語話者じゃないと気付かない微妙なレベルまで上げてきたのは役者魂の迸りを感じる(子音がハングルっぽい)。日本人役の韓国人がカタコトの韓国語を話すのは難しそう。主役のふたりはもちろん、内務大臣も印象深い。
- ときに残酷に、ときにコミカルに。基本的には重苦しくなるしかないような題材なのだが、ほんわか音楽で暗くし過ぎない配慮がある。
- 文子の動作が印象に残る。ハイタッチ、ひそひそ声、人を食った表情や動作、ウインク・キッスなど。
- 二転三転するふたりの運命。死刑→無期懲役→かたや自殺、かたや苦しい生を選ぶ。文子の生い立ちの話は控えめ。
- 政治犯特赦という政治利用をさらに利用するというしたたかさ。やりたい放題! 獄中の韓服着用や婚姻。さらに写真撮影。胸ももむ。
- 日本の民衆の良心を出すあたり作り手の良識を感じる。偏狭なナショナリズムに飲み込まれない矜持を。ふりかえって日本のヘイト本なんかを見ていると情けなくなる。
- 小道具になかなかリアリティがある。
- ウリ、オモニ、チョッパリ、イルポンは覚えた。
- 不逞社の仲間たちの「忘れないからなー!」に涙。
- スタッフロールで実写ご本人登場という流れは近年の史実モデル映画にありがち。
<関連>
http:// http://www.kaminotane.com/2018/05/10/2502/