【概要】
著者(監督):おおたとしまさ
「「学歴」よりも「塾歴」。この国では塾が受験エリートを育てているのだ」。
サピックスと鉄緑会に関し、システマティックすぎる教育内容やカリキュラムに関し紹介。公文⇒サピックス⇒鉄緑会⇒東大理Ⅲという王道of王道ルートが当たり前に出てくる。悲しいかな、「できる子はできる」。子供には泥臭く人生を歩んでいってほしいなあ。
馬渕教室がチラっと出ていたので懐かしい。
【詳細】
<受験エリートの弱み>
手っ取り早く「正解」を得ようとしたがる。でもそもそもそんなものはないから、「正解らしきもの」をねつ造する。あるいは誰かが掲げた「正解らしきもの」に飛びつくことで、安心して思考停止に陥る。
⇒問いを問いとして抱え続ける力が重要。
<学校と塾>
公教育が「与えられた教育」であるとするならば、民間教育は「自ら求める教育」と言える。その2つがあることで、日本の教育は常にバランスを保ち、かつ、柔軟に進化し続けることができた。これは世界でもまれに見るハイブリッドな教育システムなのである。
⇒多様であるはずの塾が、こと学力トップ層においては、多様性を欠く状態になりつつあるというのが本書の指摘。
<王道と回り道>
「自分は勉強をがんばることで、人よりも多くの選択肢を得ていると思っていました。しかし実際には『東大に行ったからにはあんな仕事はできない』という風潮もあって、どんどん自分の選択肢を狭めていたのです」
充実した人生を歩むためには「王道」だけでなくたくさんの「回り道」を歩む必要があるし、たくさんの「回り道」をするためにはそれに耐えられるだけの力を若いうちにつけておかなければならない。
⇒名門校の真の価値は難関校合格実績だけでなく、レジリエンスを身に付ける教育力にある(あってほしい)。学校は国籍で、塾はトレーナー。塾と学校の力関係が逆転しつつあるので特に。