著者:綿矢りさ
【概要】
映画の影響で読んじゃう。地の文(?)とモノローグ、妄想と現実が混淆した文体が主人公ヨシカの内面描写を助ける。
「新品だった傘についたまま、手垢がついてぼろぼろに破れかけてきたのにまだついてる持ち手のビニールの覆い」(何の比喩かな?)
「すっと触った指がありもしないささくれを想像して鳥肌を立てるほど」
「べとついたビール缶やテーブルに散らばった柿ピーの破片」などの手ざわりのある、現代風な比喩が印象的である。
【詳細】
私のなかで12年間育ちつづけた愛こそが美しい。イチなんか、勝手にふるえてろ。
最終ページでいきなり呼称が「ニ」から「霧島くん」になるのが良い。
映画から入った人なので、映画の方が印象的だった。
何にせよ、初綿矢りさできてよかった。